monologue : Days.

Days - Log // 2004-05

2004-05-02 Sun.

映画やドラマにおいて、登場人物の行動が納得できないものであればあるほど面白みが増す、と誰かが言っていたけれど、ものには限度ってものがある。六田登の「F」を読んでイライラしっぱなし。

2004-05-03 Mon. 嘘日記 「思ひ出」

「何これ」
「何って、見たらわかるじゃん。プリクラだよ」

僕の答えに納得がいかないような表情で、彼女は手に取ったそれを見つめ続ける。まさか知らないわけでもないだろう、なんて、僕は言わなかった。

「こういうの、嫌いだと思ってた」
「まあ、あまり好きではないよ」
「誰? この子」

窓から差し込む光が、少しずつ薄く弱くなっていっているような気がした。時計は午後四時を指す頃だろう。

「大学入った頃に付き合ってた子」

部屋掃除はなかなかはかどらない。整理好きな彼女の力を借りても。僕の部屋はいろんな物が散在しすぎていた。例えば、ずっと昔の思い出とか。

「なんで別れたの?」

僕は答えない。

「こういう子、タイプなんでしょ。知ってるよ。なんで結婚しなかったの?」

読まなくなった本を何冊か抱えたまま、僕は、自分に説明するようなつもりで彼女に言った。あるいは、僕と並んでプリクラに写っていた彼女に。

「何かがハッピーエンドか、あるいはそうでないものかに必ず収束する、なんておとぎ話だろう? 僕らは、自分たちが想像するよりもっとたくさんの何かに縛られてた」

彼女は一瞬呆気に取られた顔の後笑って、そうね、とだけ言った。僕は彼女の手からそれを取り上げ、指で弾いてゴミ箱の中へ投げ入れた。

2004-05-04 Tue.

窓の向こうに見える誰かが自分の思い通りにならなかったとしても、それがそこにいる理由でなくなることはないだろう。

2004-05-06 Thur.

明日は合宿の打ち上げだそうです。タダでお酒が飲めるみたいです。

2004-05-07 Fri.

研究室の新しい助手が、精神的に若い感じになっている様子。

2004-05-10 Mon.

一日を無駄に過ごす才能。

2004-05-12 Wed. 嘘日記 「出発」

「どうしても行くんですか」

少し大きな荷物を携えた男。彼を追いかけてきた女。彼女の手には荷物のようなものは一切なく、男の後を追って行くつもりはないように思われた。

「行きます。もう決めたことですから」

女はうつむき、悲しそうな表情をする。涙こそ流してはいないが、その表情は泣いているようにしか見えない。

「じゃ私は独りになるんですね」

男が応えて言う。

「けれどそれは、あなたが望んだことでしょう」

2004-05-13 Thur.

想像以上の雨に PC が濡れて、液晶がちょっとやばいことになる。アルハラ。

2004-05-15 Sat.

日本の特撮映画は好きになれない。リアルっぽい爆発を演出することに躍起になっていて、全然リアルでない人間が登場することには無頓着でいるから、かも知れない。

2004-05-17 Mon.

"DAWN OF THE DEAD" 観る。最後まで釘付けにさせられて良かった。

2004-05-19 Wed. 嘘日記 「関わらないで」

「あ」
「あっ……久しぶり」

思わぬところで思わぬ人に出会う。僕は動揺を悟られないように、軽く会釈だけしてその場を立ち去ろうとした。けれど彼女はそれを許さず、僕の腕を掴むようにして引き止めた。

「本当に久しぶり! もう何ヶ月くらい? ちっともメールも電話もくれないから」
「うん、まあ、最近忙しくて」

僕が不自然に視線を泳がせるわけを、彼女が察することはないのだろう。

「ねえ、今何してるの? 時間あるんだったらどこかそこらへんで」
「ごめん、急ぐから」
「……そっか、じゃまた今度」

少しうなだれる彼女は昔と変わらず純粋なままで、その仕草のひとつひとつが無意識のうちに僕を傷付けていることさえ、到底知る由もないのだろう。

「できれば、もうあなたとは関わりたくないです」

僕の言葉は、彼女の心を何よりも傷つけるだろう。何も知らずにいる彼女にそれだけ伝えることはとても残酷なことだとわかっているけれど、僕は他に採るべき方法を知らなかったし、今の彼女と同じくらいに僕の心は既に傷付いていて、もう何のための努力もできないくらいに疲れていた。

「……そっか、じゃあね」

伏し目がちに立ち去る彼女は、僕に理由を問いただしはしなかった。あるいはどこかで気付いていたのだろうか? もう知る術はどこにも残されてはいないけれど。

2004-05-20 Thur.

物凄く前衛的なことがしたいのだけれど勇気がない。

2004-05-22 Sat.

一週間に同じ映画を二度、同じ映画館で観ることになるところだった。

2004-05-23 Sun.

そういえば昨日 "呪怨 2" を観たけど、途中で観るのを止めることにした。怖さが売りの映画が前作と全く同じ手法で作られていて、質も大差ないのであれば観る価値はほとんどない。ストーリー性もないようなものみたいなので。

ファーストインパクトを超えられなかった続編が駄作と称されることは、ホラーというジャンルの中では頻繁に起こる。これはそう認識されてはいないようだけれど。

2004-05-24 Mon.

かろうじて。

2004-05-26 Wed. 狂言

「僕は、いつでも君を愛していた。君の顔も声も仕草も癖も、何もかも愛して止まなかった。けれどそれは僕にとって救いにはならなかったんだ。ただ悪戯に、消耗させられるだけの日々だったんだ」
「あなたの言葉はどれも信用がならなかった。あなたの言葉は、どれも嘘だったのよ。今日の天気を尋ねるときでさえ私は、あなたが嘘をつくときの癖を探したもの。あなたの言葉は何も産み出さない。苛立ちも憎悪も、増してや幸せなんて到底無理だわ」
「君がいつかここへ戻ってくることはわかっている。君には、これしかないのだから。君には、こうするより他はないのだから」
「言ったでしょう? あなたの言葉はどれも嘘。私は新しい道を見つけられるわ」

" Word of Love "

2004-05-29 Sat.

たまに、唐突に他人の本質を見抜いてしまう人と巡り会うことがある。当人がそれを意識していればいいのだけれど、そうでない場合はあまり近付かない方がいいのかも知れない、と思う。潜在的に誰かを癒してしまう能力を意識しないでいるということは、潜在的に誰かを打ちのめしてしまう能力も持っているということになるから。

2004-05-30 Sun.

湿気っぽい夜。花火をやった日のことを思い出した。

2004-05-31 Mon.

天野喜孝展に行く。流石な値段で展示即売。

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