monologue : Days.

Days - Log // 2009-02

2009-02-13 Fri.

数年来、プロジェクト K5KB のゴングショー でお世話になっていた鳴海氏が亡くなられた、と聞く。

氏が1997年から続けていた、賞金付き投稿ショートショート対戦企画「5KBのゴングショー」(注1)を、今後も続けて欲しいという遺言に従い、これからも継続していくことが使命となっている。

詳しい経緯は伏せられているようなので、いつそのようなことになったのかは全くわからないのだけれど、鳴海氏のウェブサイトと企画は誰かが遺志に基づいて管理団体を立ち上げた、ということらしい。とはいえ mixi の日記が不定期に更新されていて、まさかそんなことになっていたとは思いもしなかったものだから、思わずプロジェクト K 連絡掲示板でそちら(mixi)は同一人物が更新を続けているのかと尋ねたところ mixiというものを、私知りません とのご返答をいただいた。何だか釈然としないまま放っておくのも性に合わず、そうすると mixi でアカウントを保持している方に直接お尋ねするしか確認する術はないかと思いメッセージをお送りしたところ、1999+SSWL の管理人氏がアカウントを保持しているという。加えて、遺族感情があるため詮索を遠慮願いたいとのことであった。

僕は何も、鳴海氏がどのようにして、とか、どういった経緯で、といったことを白日の下に曝け出したい、と思っているわけではない。個人的にこっそり知りたい、とも思わない。第一、僕には確認する術がない(鳴海氏と直接面識があったわけでもない)。ただ、僕がインターネット上で小噺をいくつか公開する、ここ数年の活動において、鳴海氏の存在は決して小さくなかった。他のそういった作家(と呼んでいいのか)の方々と交流する機会をもてたし、(作り手視点であるとはいえ)客観的な批評を得る場も提供していただけた。元来は自分のペースで色々とやりたい性分だが、プロジェクト K のように制約を持って挑戦することも、鳴海氏に対して感謝と尊敬の念があったからできたことだといえる。それが全て、全てというにはまとまりきらないものだけれど、置き去りにされている気がする。突然の不在を告げられ、代理人が現れ、今までの活動はそのまま続ける。何があったかは詳しくは言わないし、代理人の身分もひとまずは明かされない。納得いくわけがあるか、というのが率直なところではないかと思う。何かを喪失したとき、喪失したことを十分によく悲しんで受け入れなければ、大小あれどどこかで破綻をきたすもの。鳴海氏はいなくなったが何事もなかったかのように以前のまま続けることは、到底難しい。僕は、突然現れた見知らぬ代理人を信頼するほど無垢ではないし、その方のためにエネルギーを費やせるほど力が有り余っているわけでもない。

四年前、インターネットで交流のあった真冬さんという方が亡くなられたと聞いたとき(参照)、似たようなことを思った気がする。そのときや今回のように、はっきりと終わりが告げられなくても、いつの間にかいなくなったり消えてなくなってしまうことは、珍しくない。素晴らしいテキストを書く人を何人も忘れてきた。中には別の名前でテキストを書かれている方もあれば、もう何も書けない方もあるだろう。そんなことが浮かぶとき、「長く居すぎた」と、漠然と思う。破綻をきたしている。

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