monologue : Other Stories.

Other Stories

チャイルドメイカー : 3/13

画面に映し出された子は五歳にも満たないくらいで、何も身につけていなかった。「生まれたばかり」をイメージする演出なのだろうが、赤ん坊を通り越してこの年齢の状態でこの格好、というのは多少違和感があった。

「近所の人にでも見られたら大事だな」

性犯罪者扱いされても文句の言えないような状況だ。とにかくこの画面を消し去るか、なるべく早めにゲームを次の段階に進める必要があった。

「まさかずっと裸ってわけじゃないよな……服はどうやって着せるんだ?」

画面に表示されたいくつかのアイコンをクリックしてみる。ドレスのようなアイコンを選択したとき、画面にショッピングカタログのようなものが映し出された。画面上部には "¥300,000" と書かれたパネルも表示されていた。

「ははあ、僕の持ち金は三十万、って意味だな」

つまり、手持ちの三十万円で彼女の身の回りを整えなきゃならない、ということなのだろう。そしてショッピングカタログの方には、洋服とリアルな値段が表示されていた。

「ドレスだけじゃダメだな。下着から何から全部そろえなきゃいけないのか?」

カタログのページをめくると、次々に生活必需品が表示された。一から十まで、本当にそろえてしまわなきゃならないらしい。

「こりゃ面倒だな。とりあえず服を着せて、食べる物をいくつか買っておこう」

子供服の金銭感覚なんか全くなかったので、とりあえず見た目でキレイな服を買って、あとは二・三日困らない程度に食料品と生活必需品を買い込んだ。 "アリス" は眠ったまま起きなかったので、今日はゲームはそこまでにした。

「なんだかなあ……思ったよりリアルすぎて」

リアルすぎる、というよりは現実的すぎる、と言った方がしっくりきた。どちらも同じ意味なのだけれど、生活感があふれすぎている、という意味で後者だった。

とにかくそこまでにしてパソコンの電源を落として、僕はもう寝ることにした。

To be continued

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