monologue : Other Stories.

Other Stories

本当の偽善

hypocrite [ hípakrìt ]
  1. 偽善者、ねこかぶり

街の声

どうして彼女が、って、それしか考えられないよ。酷い話だ。神も仏もあったもんじゃない。全く、酷い話だよ。どうして彼女が? 誰もがそう言うよ。あんな良い子、他にはいないのに。彼女に起きた出来事は、この街に住む皆の悲劇だ。

元恋人

神様、どこかで僕らのことを見ているなら、僕はあなたを心底恨む。悪魔よ、どこかにいるのなら、お前に対する想いは少し複雑だ。彼女をあんな目に遭わせたのはお前たちの誰かの仕業かも知れないし、お前と契約を交わせば彼女が戻るならあるいは、と僕は考えるからだ。

否定的な男

彼女に限ってどうしてそんな、だと? 全く、君たちはいつもいつも。この星の裏側で飲み水一滴なくして死ぬ人間のことを考えたことが? 彼らに等しく降りかかる不幸が、数百分の一の確率で彼女に降りかかったのだろう。結局我が身しか考えられない頭で、彼女に限ってどうしてそんな、だと?

酒場のマスター

誰もが聖人になれるわけじゃないさ。矛盾だって感じてる。だったら最初っから偽善面するなってのがやつらの言い分だろうけど、ただ誰かのためになりたい、っていう若さだってあるもんだ。私かい? もうとっくに凡人宣言してるよ。自分のことで精一杯だからね。

アルバイトのウェイター

結局のところ、真理なんてものは誰にも語れやしないのさ。それができるのは神様だけ。いるとしたら、の話だけど。僕らはそれには遠く及ばないだろうから、ただ同情して涙するだけ。悪いとも、良いとも思わないさ。人間らしいよ。

Nobody can tell the truth.

Fin.

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