monologue : Same Old Story.

Same Old Story

先輩

今、幼なじみの彼女とファミレスにいる。彼女が僕に相談を持ち掛けてきた。と言っても、それは五日くらい前の話なのだが。それが発展して今ここに二人でいるわけだ。

「前も言ったけど、ストーカーに狙われてるみたいなの」
「そうだったね。見当はついてるのかい?」
「うん、まあ」

くだらない相談だったとしても(彼女にしてみれば一大事だろうけれど)、僕を頼ってきてくれた事はとても嬉しかった。彼女の支えになっている気がした。

「同じサークルのね、二つ上の人に、ずっと食事に誘われてるの」
「断ってるの?」
「うん、でも……なんだか、ロッカーを調べられたみたいで」
「携帯の番号がバレちゃった、と」
「非通知でかかってくるの。もう何十回かわからないわ。今日だけで、なのよ?」
「へえ……取り敢えず、一度その先輩に会ってみなくちゃいけないな」

僕はその先輩に単純な憎悪を抱いていた。彼女の周りに、彼女をここまで不安にさせる人物がいたら、きっと彼女の体にも良くない。僕が彼女に多少なりとも好意を抱いているのは誰の目にも明らかで、きっと彼女もそれに応えて僕を頼っている。

とにかく、その先輩に会ってみなくちゃならない。

「そうだな、明日の昼、君のところに行くよ。しばらくの間その先輩を引き止めておいてくれる?」
「わかったわ、頑張ってみる。ありがとう、何だか少し楽になったわ」
「そう言ってもらえるとありがたいよ。あ、送っていくよ」
「あら、ありがとう。……頼りにしてるから」

彼女を送って三十分程で、僕は自分の部屋に帰り着いた。

……ただいま。

無人の部屋に呼びかける。電気をつけると、たくさんの彼女が迎えてくれた。この部屋に貼ってあるポスターは全部、僕が撮影したものだ。

そのうちの一つにキスをして、僕は受話器を取った。

すっかり慣れた手つきで番号を押す。

Fin.

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