monologue : Same Old Story.

Same Old Story

処分

僕が自宅でくつろいでいるときに、その不可解な出来事は起こった。

インテリアが突然、電波の届かないテレビの映像のように揺らぎ始めた。こう言い表す以外にどう表現したらいいのかわからない。とにかく、全てのものが揺らいだのだ。

考えてみて欲しい。SF 映画でしか観たことがないような現象が起こったのだ。そこにあるはずのものが、ただの映像のように見える。

最初は自分の目がいかれたのかとも思ったが、どうもそうではないらしい。それは、次に起こった現象を見て確信した。今度は分裂を始めたのだ。

揺れながら少しずつ少しずつ、二つにわかれていった。机も椅子も、鏡も本棚も。

僕は必死に考えた。これは何だ? 今ここで何が起こっている? 何の意味がある? 答えは考えずとも、すぐに目の前で示された。

元のものが、音もなく粉々になっていった。そして粉々になったものは、また音もなく完全に消えてしまった。

理解はできない。が、事実、こういう現象が起きている。どうだろう? こんなことって有り得るのか? 実際目の前で起きているわけだが、何の意味が?

「簡単なことだよ。古くなった家具は処分するだろ?」

突然の声に驚いて振り返るとそこには、僕そっくりの男が立っていた。

Fin.

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