monologue : Same Old Story.

Same Old Story

三つの願い

男の目の前に悪魔が現れてこう言った。

「お前の願いを、どんな願いでも三つだけ叶えてやろう」

男は驚いたが、冷静に対処した。

「そうやって願いを叶えて、最後には魂を持って行くんだろう?」
「そんなことはしない」
「見返りを求めないはずがない。全部お見通しさ」
「だから何も要らないと言っているのに」
「そんなことがあるわけがない」
「人間の言葉で言うならボランティアだ。そいう悪魔もいるんだよ」
「本当に本当だろうな」
「神に誓ってもいい。嘘をつけば神に殺されてしまうだろう」
「……悪魔だって殺されるのはさぞ嫌なことだろう」

男は少し考えて言った。

「本当に何も要らないんだな? 何でもできるんだな?」
「人間が望む程度のことはな」
「じゃあこの部屋を金でいっぱいにしてくれ」
「お安い御用だ」

悪魔が何か口の中でつぶやくと、突然部屋は砂金でいっぱいになり、あっという間に男は額まで埋まってしまった。

「息ができない! 何とかしてくれ!」

男が叫ぶと、砂金は全部消えてしまった。

「全部消さなくてもいいじゃないか」
「あと一つだ」
「しょうがない。慎重に考えるから少し時間をくれ」

男がそう言うと悪魔は消え、二度と姿を現さなかった。

Fin.

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