monologue : Same Old Story.

Same Old Story

消えない足音

「……? 何だろう?」

一緒に歩いていた友人が妙な声をあげる。

「どうかしたか?」
「何か音が聞こえた……ほら、まただ」

僕には何も聞こえない。

「空耳じゃないのか? 耳鳴りとかさ」
「聞こえるんだよ……足音だ」

僕は首をかしげた。時間は午前零時、場所は大学の校舎。誰が歩き回ってるって言うんだ?

「おい、大丈夫か?」
「誰か忘れ物でも取りに来たんじゃないか? 俺たちみたいにさ」
「そうじゃなくて……俺には聞こえないんだよ」
「この音がか? お前の方がどうかしてるぜ」

彼は譲らなかった。何分か言い合った後、ついに彼は確かめに行くことを決意した。

「俺もついて行こうか?」
「一人で十分だろ……それともビビっちまったか?」

彼はそう言って、音のするという方向へ駆けて行った。

一時間が過ぎても彼は帰ってこなかった。探しに行こうと、何度も考えはした。しかし、その度に動かない方がいい、という気持ちになった。何かがそこらを歩き回っている音が聞こえるのだ。好奇心よりも恐怖を駆り立てる何かが。

Fin.

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