monologue : Same Old Story.

Same Old Story

人間そっくり

「やったぞ! これは素晴らしい発明だ!」

一人の研究者が、長い研究を終えて叫んだ。そして彼は、研究資金を手にするために発明品を売りに行った。ある資産家の家まで行き、彼はこういう文句で売り込んだ。

「ついに私は発明したのです」
「いったい何をかね」
「人間そっくりのロボットです」

そう言って彼は、本当の人間と見間違えてしまいそうなほどよくできた、まだ出来立てのロボットを資産家に見せた。

「見かけだけのものではありません」
「ほう、というと?」
「まさに人間そっくりの行動をとるのです」

資産家は大いに興味を示したようだった。

「よし、買ってみるとしよう」
「ありがとうございます」

こうして研究者は大金を手にし、次の研究に没頭するようになった。

数週間後、資産家が研究者のもとを訪れた。

「いったいどうなってるんだ、あのロボットは」
「何か問題でも?」
「ぐうたらでちっとも何もせんのだ」

研究者はうろたえることなく言った。

「まあ、人間というのは大方そうでしょうな」

Fin.

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