monologue : Same Old Story.

Same Old Story

やり直し

「俺はこんな終わり方はごめんだ!」

電気椅子を前に、囚人は大声を張り上げた。

「神様、お願いだ! もう一度だけやり直させてくれ!」

そう叫んだ瞬間、彼の目に映る全ての風景がねじれた。なにがなにやらわからぬまま、彼は意識を失ったようだった。

気が付くと、彼は路地裏にいた。

「ここは……!」

それは見覚えのある光景だった。彼が死刑に至る罪を犯した日、そしてその場所。彼はやり直しのチャンスを与えられたようだった。

「俺は……やった!」

彼は天を仰いで叫んだ。

「汚らしいダウンタウンだが、死ぬよりはずっとマシだ!」

彼は大声を上げて走り回った。その時だった。

「うるせぇぞっ!」

彼は背後から体当たりをくらわされて振り向いた。そこで彼が見たのは、麻薬中毒でイカレた目をした男と、自分の背中に突き刺さったナイフだった。

彼は地面に崩れ落ちながらつぶやいた。

「……もう一度……」

願いは届かなかった。

Fin.

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