monologue : Same Old Story.

Same Old Story

上司と悩み

肩を落としながら昼食をとる男に、彼の上司が歩み寄った。

「どうしたんだ、元気がないじゃないか」
「はあ」
「何か悩みでもあるのか?」

今度は何の反応も示さない彼に、上司は笑顔で言った。

「仕事に影響があってもいけない。私でよければ話を聞こう」

彼は、上司にすがるような眼差しを向けた。

「実は、妻のことで」
「ほう、何だね」
「どうやら浮気をしているらしいのです」

彼は、半分以上中身の残った食器に視線を落とした。

「もし彼女が別れるなんて言い出したら、と」
「彼女がどう出るか、不安で仕方がないわけだな」

上司は席を立って言った。

「それならもう悩みは解決したのも同然だ」
「どうしてですか」
「君の奥さんは、君に離婚を申し出る、とはっきり言ったよ」

上司は彼のもとを離れた。彼は、歩いていく上司に問い掛けた。

「ちょっと待ってください! いったい妻はどこでそんなことを?」
「ベッドの上に決まっているじゃないか」

Fin.

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