monologue : Same Old Story.

Same Old Story

復讐

やってしまった。僕はついに、引き返せない場所に立ってしまった。

つい二時間前のことだ。僕は、この手にあまる銃身の引き金を引いた。

「待ってくれ……な? いくら欲しいんだ?」
「…………」
「なあ、話し合おう……ちょっと待て、な?」

話し合いのはずだった。僕の妹を殺した彼を、僕は個人的に追い詰め……。話し合いで解決できるはずだった。彼に警察に出頭するように求めるはずだった。

「なあ……話せばわかるだろう? 頼むから助けてくれ!」
「……妹もそう言わなかったか?」

僕は、彼の胸目掛けて弾を打ち込んだ。彼はあっけなく倒れた。

そう、僕は引き返せない場所にいる。火薬のにおいがする。感触が残っている。もう引き返せない。

……彼を殺したこと?

ヤツが死んだことなんてどうでもいい。死んで当然の男だ。問題は、どうやら誰かに見られたらしいことだ。目撃者が警察へ向かう前に、どうにかして始末をつけないと。

Fin.

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