monologue : Same Old Story.

Same Old Story

浮気の彼女

どうして僕はこんなところにいる? どうして……どうして、彼女とホテルなんかに?

恋人とは、僕なりにうまくやってきたつもりだ。浮気なんか一度もしたことがない。そりゃあ、先週に大喧嘩をやらかして、それ以来口をきいていない。

でも、これは……どうして、恋人でもない彼女と?彼女がバスルームから出てきた。

「ああ、さっぱりした。あなたはどうする?」
「……えっ?」
「シャワーよ。浴びるの?」

僕は、言葉もないままに彼女を見つめた。

「私はどっちでもいいわよ。どうせまた汗かくんだから」

そう言って彼女はベッドに腰掛け、僕を見てつぶやいた。

「それとも……怖気づいちゃったかしら?」
「僕は……」
「……そう。なんだかしらけちゃった。私帰るわ」
「……ごめん」
「本気じゃないもの。こんなの、ただの遊びよ」

彼女は僕の前を横切り、脱衣所に脱ぎ捨てた服を手にした。

「ごめん……」
「謝らないでよ。余計みじめになるじゃない」
「…………」
「いいのよ。私にチャンスがないのはいつものことなの」

僕は、彼女の横顔に涙を見た気がした。

Fin.

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