monologue : Same Old Story.

Same Old Story

くしゃみの占い

「なんだこりゃ?」

毎朝欠かさず見ているニュースの、今日一日の運勢のコーナー。理屈はよくわからないけど、占いってやつは人気があるらしい。その占いによる、今日の僕の運勢。

『お目当ての異性が近くにいたら、くしゃみを三回してみよう』
「するといいことが……バカにしてんのか?」

これが今朝の僕。が、占いってやつは不思議で、いざ窮地に立つと信じたくなる。学生食堂で昼食をとる僕の隣に "お目当て" の彼女がいる。

(くしゃみ、出ないかなあ? 嘘でもかまわないのかな?)

今朝は全く見向きもしなかったのに、今は全力で向かい合ってる。そして考えは巡りに巡って、どうするにしろ後悔はしそうだった。

(ああ、誰かキッカケをくれたらなあ……コショウの瓶ひっくり返すとか)

どうにもくだらない考えが浮かんでは消える。

(ああもう神様! 僕はくしゃみをするべきか教えてください!)

ついに神頼みを始める僕に、思わぬキッカケが訪れた。

「ッくしゅん」

……くしゃみ? 彼女がくしゃみをした……続けて二回、三回。僕はなけなしの勇気を振りしぼった。

「大丈夫? 風邪流行ってるから……よければティッシュ使って」
「あ、ありがと。最近具合悪くて。やっぱり風邪かなあ」

こんな調子で始まった会話は昼休み中続き、僕は思いもよらず "いいこと" を手にした。

さて、彼女は今朝の占いを見たんだろうか?

Fin.

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