monologue : Same Old Story.

Same Old Story

閉じた部屋

「いったい何だってんだ、ここは」

ほんの十五分前だったか、僕は見知らぬ場所で目が覚めた。無機質で殺風景、灯りもろくにないような部屋だった。

「なんでまたこんな部屋にいるんだろう」

確か僕はいつも通り、自分の部屋で眠りについたはずだった。それがどうしてこんな場所に?

「とにかく、事情を知ってそうなやつでも見つけないと」

ここがどこかもさっぱりわからないし、どうして、いつからここにいるのかも気になった。自分のことを知るために他人を探すなんておかしな話だが、今の僕にはこれしか方法がない。考えて答えが出るわけがないのだから。

しかし、僕の探求心めいた感情は、すぐに絶望へと変わった。

「いったい何なんだ、この部屋は!」

この部屋は四方を壁で囲まれ、出口らしきものは一つもなかった。もちろん、僕の他には誰もいなかった。

「誰か、僕をここから出してくれ!」

僕の叫びは誰にも届かないのだろうか。とそのとき、はるか上の方で物音がした。見上げると驚いたことに、部屋の天井が外れ、何か大きなものが中を覗いていた。

「主任、新しい実験動物、何やら興奮気味みたいですよ」
「昨日仕入れたマウスか? 発情期でも迎えてるんだろ」
「放っといても構いませんよね? 愛玩動物でもあるまいし」

そいつらは、何か音をたててやりとりをしているらしかったが、僕をちらりと見て、すぐに見えないところへ引っ込んでいった。やがて天井が閉まり、僕はまた、この閉じた部屋に独りになった。

Fin.

Information

Copyright © 2001-2014 Isomura, All rights reserved.