monologue : Same Old Story.

Same Old Story

半透明の恋

「これくらいの距離感が一番だと思うよ」

彼は普段より冷静な様子で、私の訴えを軽く退けた。週末だけじゃなくて、もっと二人で一緒にいられる時間を作れないか、そう訴えた私と彼の温度差に、私は少しだけうんざりした。

「これくらいでちょうどいいんだ」

きっと、男はそういう生き物なのだろう。男女が別の生き物なんてよく言ったものだ。

「わかったわ。今まで通りでいい」
「一緒にいすぎてかえって関係がだめになる、なんてことだってあるんだから。わかってくれよ」

彼の言葉はただの言い訳にしか聞こえなかったが、私はそれでも納得するふりをした。私が我慢をすれば、二人は今まで通り、何も問題なくやっていけるのだから。

「そうね、今まで通りでいいわ」

実を言うと私は、彼の言葉がただの言い訳でしかないことを知っている。彼は、きっと浮気でもしているのだろう。

「じゃあ、また来週の週末に」

そう言って笑顔で彼と別れる。また来週の週末には、彼と食事をして、彼の部屋に泊まって、また新しい一週間の始まりを迎えるのだろう。その間に彼が、誰と会っているのかは知らない。私が関知するべきことかどうか、それもよくわからない。

「また来週」

彼も笑顔を見せる。

私は、この状況を打破したかった。今では叶わないこととなってしまったけれど。携帯電話を取り出し、友人にメールを打つ。

明日の夕方、何か予定ある?

あるいはこの方法でもいいのかも知れない。私は、それを望んでいたのかも知れない。全ては彼の返信次第。

明日は何もないよ。どうかした?

これも、ひとつの方法かも知れないのだ。

Fin.

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