Days - Log // 2003-10
2003-10-01 Wed.
教科書とか持って引っ越し。電気がまだ通ってないので、暗くなってきたら退散。実家に戻る。必要なものが全然足りない。昼食も夕飯もラーメン。
「藤岡弘、冒険シリーズ」は 21 世紀有数の失笑番組。是非とも見るべき。
2003-10-02 Thur.
床屋のおばちゃんは客に話しかけながらも、頭の中で話題展開を驚くべき速さで行っているので、「今何の話をしてるんだろう」と思うことしばしば。「この話は何度目だろう」と思うこともしばしば。つまり独りよがり。
Same Old Story が百四十話を超えて、二十話くぎりのタイトルリストが縦長に思えてきた。今後まだ増えていくとして、あのリストもひたすら縦に伸びていくのはとてもナンセンスな気がする。ので、いろいろいじってみるものの妥当な案は見つからず。回り込みは既に指定してたりするので、いろいろと整形が面倒。まあそのうち。Other Stories もそろそろ長すぎるか。まあそのうち。
髪を切った日は、頭を洗うのが楽しい。
2003-10-03 Fri.
中部電力と東邦ガスへ電話して、下宿先に供給してくれ、と伝えるも、開始日を五日と告げてしまう。実質日曜日から生活開始で、月曜日から実習開始。切羽詰ったスケジュール。
Haversack さんからのプレゼントが届く。めちゃくちゃカッコいい。
2003-10-04 Sat.
電化製品の買い出し。リサイクルショップで冷蔵庫を割安にて購入するも、中がなんか汚い。掃除したけど、黄色い飴のカケラとかブルーベリーっぽいのとか髪の毛(茶色、長め)とか、やや怖い。夜中に勝手に開いたりしませんように。っつか、ブルーベリー? 間違いない? 少なくとも、血とかの類じゃないよね?
「この時期にこんな部屋が空いてたのは妙だな」
父の要らん一言。やや怖い。
2003-10-05 Sun.
下宿先、娯楽の類の設備は一切なし。テレビも新聞もネットもないので、やることやったら本当暇。
2003-10-06 Mon.
意外に集中できる環境なのかも。やることないから。
2003-10-07 Tue.
特別親しいわけでもない(と思っている)学部の女の子たちと、
「えー、下宿したんだー、へー」
「〇〇? なんで□□にしないの?」
「いつから?(日曜日から、と聞いて)ええー!」
などという会話を交わすことになるとは思ってもみなかった。女の子ってこういう感じでなんとなく友達になっていくんだろうか。っていうか、三年生(後半)になって気付くようなことではない気もするわけで、二年くらい遅いんじゃないかとか思ったりもするわけで。
2003-10-08 Wed.
大学生活で出来る友達なんて、趣味が合う、話が合う、同じ物に興味がある、好き、嫌い、とか、そういうのは多分全然関係なくて、グループワークで同じグループになるとか、そういうことの方がとても重要な気がする。チクショウめ。
久し振りに飲む酒は凄く不味かった。
2003-10-10 Fri.
とりあえず自分がものすごく世間知らずなことを常々実感しているわけだけど、入院患者が看護師を口説き落とせない理由はよく理解できたりした。
2003-10-11 Sat.
何日ぶりかにネット。下宿先にも回線ひくべきか。切実。
Other Stories No.029 「傷からあふれたもの」 は、そのうち続きを書きたい。とか思ったのはどれだけぶりだろう。
2003-10-12 Sun.
やっぱり回線引くか、近所のインターネットカフェに入り浸るべきだろう、と、懐メロを聴きながらぼんやり考える。
2003-10-13 Mon.
時計のない部屋にいると、今何時かとかの感覚が全然なくなる。不適応者一歩手前。
隣の部屋から何かを熱唱する声。
2003-10-14 Tue.
めちゃめちゃ雨に濡れながら帰った。
批判されても否定されても、正気を保っていられるくらい我の強い人が羨ましい。最初から正気でないとかいう可能性もあるけれど。
2003-10-15 Wed. 嘘日記 「間違いじゃない」
「間違ってたんだよ、根本的に」
薄暗いが気品の漂う、割高そうないかにも小金持ち向けのバーのカウンターで、その場の雰囲気に似つかわしくない声の張り上げ方で、スーツの男が隣の男にぐちをこぼす。
「間違いだったんだ。僕は医者になんかなるべきじゃなかった」
男のグラスが、溶けかけた氷を揺らしてカラカラと鳴る。
「医者になれば、病気の人を救えると思った。僕の親父みたいな、ね。でも、間違いだった。救えない人の方がはるかに多いんだ。僕が一人救う間に、病気ってやつは五人も六人も殺しちまう。ときには指をくわえてそれを見てるんだ。あと何ヶ月、悪くすればあと何週間でこの患者は死ぬ、そう考えながら作り笑顔を見せるんだ」
隣の男が、スーツの男の肩を軽く叩く。
「君にも不可能なことはある。僕にだって当然あるし、神様にだってあるかもしれない。全部、なるようになるのさ。それはそうなるように、きっとずっと前から決まってるんだ」
それに付け足して、でも、とつぶやくように言い、少し間を置く。
「そう思ってもあきらめていないから、だからまだ医者を続けてるんだろう? それはきっといつか、誰かのためになるんだよ」
やっぱり笑顔に癒されてしまうのです。
2003-10-16 Thur.
久しぶりに顔をあわせた学部の先輩に、髪が黒いことをかなり驚かれる。短くなったことよりも。いろんな人にいろいろ言われるので、週末あたりにまた色を抜こうかと思案。
2003-10-17 Fri.
別に歌が上手くなくても、ノリがいいわけでも流行りの歌が歌えなくても、ただカラオケという場所へ付き合いで行くことが苦痛でなければ、それだけでいくらか人間関係は円滑であるだろうに。
2003-10-18 Sat.
体調があまり良くない。顔とか足とか、白い。
2003-10-19 Sun.
土日で祭りをやってたらしい。朝方、窓越しに神輿を見て「へー」と。
2003-10-20 Mon.
何かを言葉にするのは、とても難しい。
2003-10-22 Wed.
下宿して初めて寝坊した。二度寝っぽい感じで。遅刻はしなかったけど。
2003-10-23 Thur.
持ち前の無気力さで提出直前に書き直そうと思っていたレポートを驚くほど悲惨なやっつけ仕事で仕上げて、それを提出した夕暮れの帰りに立ち寄ったマクドナルドで二つの修羅場に遭遇した。
「ゲームボーイがやれなくなるから、スキーには行きたくないのか? お前が体を鍛えれるようにサッカーをやれるようにしたのに、そういうことを聞くとパパは残念だ」
「わからなかったらどうして聞かないの。結局それを他人にまわして、じゃ自分は他の仕事できてるかっていうとどうなの。それが、もう三ヶ月、今まで積み重なってきてるのよ」
自分の不備を諭されているような気がして、身を小さくして月見チーズバーガーという目玉焼きを使うことでジャンクフードのイメージを払拭したかのような意気込みの製品を黙々と口にした。
外に出たら、雨が降っていた。傘は、持っていなかった。
2003-10-24 Fri. 狂言
「誰にだって触れられたくない傷のひとつやふたつあるだろう。その傷を刺激するように慎重に言葉を選んで神経を逆撫でして、最後にほんの少しだけ安心できるような言葉を投げかけてやる。君に言われるまでもなく、僕のやり方は汚い。罵れよ。僕がいつも君たちにするように、今思い付く限りの汚い言葉を浴びせて、僕を罵れよ」
「自分の非に誰かが気付く前にそれを認めてしまうことで、むしろそれを責めることを自ら望むことで、自分の全ての罪が帳消しにでもなるというような下心を抱いているなら、それは全部どこかへ投げ捨ててしまった方が良い。何も、君のためにはならない。僕のためにもね」
「痛みを知らない傍観者め! 世界を知らない偽善者め! お前はその小さな自分だけの世界から、どうして外の世界にいる僕を否定することができる?」
「誰も本当のことに興味なんてないのさ」
" Four Times "
2003-10-25 Sat.
いろいろ考え込んでしまう。
2003-10-26 Sun.
二度目の帰宅(実家への)、再度物資補給。
- あと致命的に足りない物
- 自炊用道具 (そのうち密かに導入予定)
- インターネット用回線 (打診済み、導入予定)
- テレビ (割と必要ない)
- 時間的余裕 (来年春まで絶望的)
ついでに地元の古本屋に寄ってきた。下宿先付近には見当たらない。『存在の耐えられない軽さ(ミラン・クンデラ)』『2000 年のゲーム・キッズ(渡辺浩弐)』『夢で会いましょう(村上春樹・糸井重里)』『回転木馬のデッド・ヒート(村上春樹)』購入。読む時間はあるのか。
2003-10-27 Mon.
郵便はがきの宛名の最後に、"?" とか書いてあった。東邦ガスめ。
「名古屋市〇〇区△△ ##-## 山田 太郎?様」
こんな感じに。東邦ガスめ。
2003-10-28 Tue.
どんなに追い詰められようと言ってはいけない言葉があるし、それを口にしてしまった人にとって信頼や何かを回復するのはとても難しい話で、そういう人にライバル視されてるとかいうわけのわからない現状はどうなんだろう。詳しく書きたくもない。
2003-10-29 Wed.
割と無神経だと思ってた人が、実は反対方向に振り切れるくらい繊細なのだと知ったときの何とも言いようのない申し訳なさ。
予想通り、本を読む時間がない。
2003-10-30 Thur.
書きたいんだけど、時間がない。
2003-10-31 Fri. 嘘日記 「持ってます」
「ねえ、聞いた? 三組の上原、ホームページ持ってるんだって。それで、なんか自分で作った詩とか載せてるんだって」
「へえ」
「でさ、今日見てみたの。そしたら、チョーキモイんだって! あの顔でアレ言うかぁ? ってカンジ! もうネットカフェから繋いでるんだからわらかすなっつーの」
「へえ」
詩も、小説も、そんなに変わらない。とても言えない、「僕もそれ持ってます」なんて。
「でもさ、あれだよね……ホームページとか作れるって、なんていうか、パソコン強いっていうか……見るだけじゃないんだよね」
「はあ」
「ちょっとだけ、だけど、そういうの作れるの羨ましいかなあ、って。ちょっとだけね。人に見せたいものが自分にある、っていうことなんだしさ」
「はあ」
作れるし見せたいものもあるけど、今さら言えない。「僕もそれ持ってます」なんて。