monologue : Days.

Days - Log // 2003-11

2003-11-01 Sat.

また妙な夢で目が覚めた。

2003-11-02 Sun.

今週の劇的ビフォーアフターは作り手の自己満足に見えた。一般家庭に工業用の排煙装置は必要ないだろ。用途が違うって言っても。

2003-11-03 Mon.

誰かの言葉に癒されるのは幸せなことだ。わざと聞こえないように小さな声で、ありがとうと言う。

2003-11-04 Tue. 狂言

「それが異質であって忌み嫌われるものであることを直感的に悟るには、いくつかの条件がある。自分自身が至極正常でその対象を単純に異物として見なすか、かつての自分がそれの立場にあって、あるいは現在もその傾向があり、それが忌み嫌われるものだと知っているか」
「それで、君の場合は?」
「つまり誰かを迫害しようとする人間には、少なくとも二種類があるということだ。その対象が生理的に認められない正義漢気取りか、それともある種の同族嫌悪かのどちらかだ」
「それで、君の場合は?」

" Same Side "

2003-11-06 Thur.

実話。

「(インターホンが鳴る。受話器を手に取り)はい」
「あの、こんにちわ、今日オープンの美容院で、女性を対象にご挨拶にまわってるんですけども、あの、こちらはご在宅でしょうか?」
「えっと、僕は女性ではないですけども」
「そうですか、失礼しました」

受け答えも受け答えだけど、納得するのもね。

2003-11-07 Fri.

「怖くないからね」

同じ実習先に現れた別の学生に対して、同級生にこう紹介される。声が低い人は怖く思われるのだとか。声が低い人に対する差別に対して徹底的に抗戦しようなどと思いつくも驚くべき速さでどうでも良くなる。

2003-11-09 Sun.

同学部の知り合いが交通事故に遭って、顔に縫うような怪我をしたと知った。女の子にとって顔に怪我を、しかも縫うような大きな怪我を負うというのは精神的にとても大きいことなんじゃないか、と鈍い人でも考えられることが頭の中を巡る。次に会ったときに自分が彼女にとって良くない態度を取ってしまう気がして、物凄く怖い。

2003-11-10 Mon. 嘘日記 「傘と僕の距離」

とにかく、傘を持っていなくて良かった。びしょ濡れになることができて良かった。すれ違いざまに故意かどうかはともかく、よくお似合いの派手な傘を傾けたおばさんに、さっきかきあげた前髪をまた下ろされるくらいに水滴をお見舞いされた。

「あら、ごめんなさいねえ」

ちっとも謝る気のなさそうな目で見られて、僕は情けない笑顔と会釈を返した。何のためかは、僕自身もよくわからない。

「あらあ、びしょ濡れじゃないの」

続けて彼女は、どこかから空気の漏れたような間の抜けた声で、今さら間の抜けたことに気付くふりをした。その仕草は相手の神経を逆撫でするためだけにつくられたもののようにも思えた。

とにかく、傘を持っていなくて良かった。そんなことを気にせずにいられて良かった。

「いえ、傘を忘れた僕が悪いんですから」

僕は渾身の力を込めて、目の前のおばさんを殴り飛ばした。

2003-11-12 Wed.

泣けそうなくらい、周りはいい人ばかりで、自分に対して真剣にならないといけない気がする。

2003-11-13 Thur.

ファストフード=ジャンクフード。今なんとなく辞書ひいてみたら、ジャンクアートなんてものもあるそうで。ビートたけしか誰かが明石家さんまか誰かの車をオブジェにしたのと同じアレか。誰が誰の何をどうしたのか物凄く曖昧な記憶だけど。どうでもいいか。

2003-11-15 Sat.

多分、これは推測でしかないのだけれど、世の中には普通の幸せを普通に手に出来る人とそうでない人がいて、普通の幸せって言うのは金持ちになるとか有名になるとか尊敬されるとかそういうことでは全然なくて、絵に描いたような普通の「家庭」で生活して死ぬ瞬間にちょっとだけ満足でも出来るようなそういう幸せのことなんだけれど。

それで、これも推測でしかないのだけれど、多分自分はそれをどうやっても手に出来ない側の人で、例えば何かの拍子に凄く有名になって尊敬されて金持ちになっても、どこか心の奥底でそういう普通の幸せのようなものを求めるのだけど、どうやってもそれを手に出来ないことは知っていて、あるいは手にしていてもそれに気付くことができなくて、いつまで経ってもずっと渇いたままでいるような気がする。

誰かが痛がっていても、自分が痛がっていても、それに気付けない。

2003-11-16 Sun. 嘘日記 「手紙」

やあ、久しぶり。手紙を書くのは半月ぶりかな。そっちはどうだい? こっちは、ここ数日でめっきり冷え込むようになったよ。もうすっかり冬だ。

最後に会ってからもう三ヶ月か。いろんなことが変わったよ。本当に、いろんなことがね。
まず、酒をほとんど飲まなくなった。どうしても寝付けない夜なんかは一杯やることもあるけれど、睡眠薬を飲むよりはよっぽど体にいいだろう。少なくともおれはそう信じてる。
誰かを殴ったり傷つけたりすることもなくなった。通りを歩いてて肩をぶつけて、何も言わずに歩き去ろうとするやつには、そりゃちょっとは腹が立つけれど、せいぜい睨み返すくらいで手を出すことはない。本当だよ、信じられないかも知れないけれど。
それと、これが一番信じられないかも知れないけれど、食事に気を使うようになった。健康ってものに関心を持ったんだ。三食全部ってわけにはいかないが、夕飯は毎日自炊してる。まさかおれが! なんて、自分が一番驚いたよ、こんなことをするなんてね。どれも君の作った料理には遠く及ばないけれど、悪くない味だと自分では思ってるよ。

いろんなことが変わったよ。本当に、信じられないくらいに。ここ数年で、一番体の調子がいいと思う。これは、建前とか、調子のいいことを言っているわけじゃなくて。おれは、変わったんだと思う。少しずつだけど、いい方向に。

だから、なぁおれたち、もう一度だけやり直せないだろうか?

一人称が「僕」の女性の方にはどうにも気を許せない。無愛想で美人の女性の方と仕事をするのは疲れる。どうしろってわけじゃないけれど。

2003-11-18 Tue.

実習先まで電車で一時間、なんて場所に配置されてしまったので、本を読む時間が少しできた。あまり嬉しくないけど。

2003-11-19 Wed.

雨上がりの空気とか湿気とかが好きなんだけど、なかなか理解されない。

2003-11-20 Thur.

摂食障害の人にとって食べて吐く、という行動はきっと平常なことで、特別異質なことではなくて、だから多分、自分にとって今の状態は、そういうことだったんだと思う。

2003-11-21 Fri.

新着メール、11 件。うち、いわゆる迷惑メール、10 件。

2003-11-22 Sat.

「独自の視点」とか「面白い考え方」という褒め言葉についていろいろ思うところがあったのだけれど、割とどうでも良くなったので書かないことにする。

週末の実家で楽しみにしているもののひとつとして、(下宿先よりは)大きな浴槽。風呂。が、あります。特にこれから寒くなるだろうし、格別だろうなあ。

2003-11-23 Sun.

やっぱりネットで読める小説とかそういう読み物は(もちろん自分を含め)限界というものがあって、「いやそんなことはない、誰か凄い人がどこかにいるはずだ」とか躍起になって探すんだけど、まず読む気になれず挫折することしばしば。

文字のサイズ pt 指定って本当勘弁。読める大きさならいいんだけど(これだって手放しで人のこと言える立場ではないけれど)。

2003-11-24 Mon.

出来るのに出来ない振りで甘えることは、本当に出来ない人に対して失礼なことだろうか。持つ者の義務とか、責任とか。どうなんだろう。

ゲームというものの面白さには毎度ながら感動。頭悪そう。

2003-11-25 Tue.

さんざん知ったふうなことを言っておいて、きっちり同じ失敗を自分が繰り返してりゃ世話ないね。まさか、自分だけは貧乏くじひかないだろうなんて思ってたわけでもあるまいに。これ見よがしに打ちのめされてる自分の姿を想像してみろよ。そりゃ惨めだよあんた。

2003-11-26 Wed. 嘘日記 「ゴミ溜めの中へ」

「やっぱり、わかりやすい方がいいのかなぁ」
「わかりやすさ以外に、何を優先しようってんだよ」
「その、なんていうか、文学性とか、そういうような」
「今時そんな固い物読みたがるやつなんていないよ。わかりやすくて、泣ける。これが一番受けるんだよ。本屋でも行ってみろよ、そんなのばっかりだろ」
「そうかなあ……」
「文学性だってエンターテイメントのひとつだろ。受け手がどう評価するか、しかないわけだし。それに、今はそういうのは流行ってないしな」
「そうかなあ……」
「埋もれて有象無象になっちまうくらいなら、ちょっとくらいやりたいこと曲げるのも仕方ないだろ。頑固一筋だって流行りゃしないよ」
「その、自分から "有象無象" になるようなことにはならない?」
「さあ、どうだか」

自分のこれからの人生にどれだけ期待しているか、が、ポジティブだとかネガティブだとか人間不信とか、そういう部分に現れるんだとしたら面白い。

2003-11-27 Thur.

はす向かいの席で映画談義に花を咲かせる連中の言葉を疎ましく思いつつラーメンをすすりながら、どうして眼鏡を落としたりしたんだろうとか考えた。

2003-11-28 Fri.

多くの場合、「ごめん」という言葉に意味とか効力があるとは思えない。どうしてなのかは自分でもよくわからないけれど、その場しのぎのごまかし程度にしかならない軽さを感じてしまう。反射的に「ごめんね」なんて言えるやつはずる賢いに違いない。

2003-11-29 Sat.

本屋の雑誌コーナーで立ち読みをしてると、三歳児(くらいの子供)が泣きつくのに目もくれず雑誌を読みふける父親らしき若い男性の方を目撃した。横目で様子を伺ってると、子供があまりに寄りかかってくるので拳を振り上げる仕草なんかして子供を大泣きさせていた。子供、母親のもとへ。

たかだか数百円の雑誌に金を出すのが惜しくて(でも読みたいんだろうな)、自分の子供が何言っても聞かない上に暴力振るうとはよっぽど気分の悪いことでもあったんだろうか? なんて皮肉めいた想像をしたりした。とりあえず、こんなゴミみたいな親にはなるまいとは思ったけれど。

2003-11-30 Sun.

いろんな人に褒められたりして、それは半分以上は社交辞令なんだろうけれど、それでも自分に価値や意義を認めてくれる人がいる、ということのはずなのに、なんとなく納得できないでいることがある。じゃ誰に何を言われたら満足して幸せになれるんだろう?

と、新しい眼鏡がちょっと合わないと感じながら考えた。

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