1. monologue
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  3. カウントゲーム
  4. 消去不可

カウントゲーム

  1. ゲーム開始
  2. 発見
  3. 68
  4. 気付いたときには
  5. 転送
  6. 消去不可
  7. 試み
  8. 悪く思わないで
  9. 救いの手
  10. 君のための努力
  11. 打開策
  12. 要求
  13. 勝利の代償
  14. 簡単なこと
  15. ゲームオーバー

消去不可

Day 1, PM 10:12 Chapter 2: 萩原 綾

「あら、何かしらこれ」

メールフォルダに、見慣れないアドレスからのメッセージが届いている。件名はない。

「スパムメールにしては」

アドレスが素人くさいわね、と言おうとして、彼女はそのまま黙り込んだ。本文には、中学生が携帯電話のメール機能を使って遊ぶような、そんなくだらないことが書いてあった。少なくとも彼女にとってはその程度のものに見えた。

「未だにいるのね、こんな子」

こんなとき、自分の若い頃はどうだっただろう、などと考える人は少ない。彼女も例に漏れず、自分の通ってきた道を振り返ることはなかった。誰でも経験してることなのだろう、と思うことなく、彼女はそのメールの送信者を軽蔑した。

「誰が喜ぶのかしら、こんな遊びで」

メッセージの上で、マウスの右ボタンをクリックする。削除の項目までスクロールし、今度は左ボタンをクリック。

「あら」

メッセージは削除されずに、システムエラーが表示された。

これはゲームです。
最後に手元にメールが残っていた人の負けです。
勝負に負けた人は、罰ゲームを受けなければいけません。

表示されたメッセージは、メール本文に書き記されたものの一部だった。ふう、とため息をついてつぶやく。

「嫌ね、一緒にスクリプトでも送り込んでるのかしら。数値か何かが足らなくなっても削除できないように? 手の込んだ、悪質なメールね」

ぶつぶつつぶやきながら、メールソフトとは別のアプリケーションを開く。エクスプローラーによく似た、ツリー構造の画面が表示された。左半分にフォルダの階層、右半分にテキストエディタのような領域。これは、彼女が仕事などに使うツールのひとつだった。

「スクリプト実行する余地なんか与えないわ」

データの内容に干渉することなく、データをまるごと削除してしまうことができるツール。中に時限爆弾の仕掛けられた箱を、箱ごと海に投げ込むようなものだ。

「メッセージフォルダ、新着……これね。削除、と」

しかしデータは削除されずに、またシステムエラーが表示されるだけだった。

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「何これ」

今まで見たこともないような処理をする画面の前で、彼女は驚きと失望の入り混じったような表情で言った。

「最悪、ウィルスでも紛れてた? ああもう!……明日にでも駆除しなきゃ」

PC の電源を強制的に落として、ベッドに倒れ込む。明日も仕事がある、ウィルスのために夜更かしはできない。

To Be Continued