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カウントゲーム : 2/15
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Day 1, AM 08:42 Chapter 1; 秋田 一輝
メールソフトの効果音が、新着メールのあることを告げた。
「渡辺から? 何だろう」
新着メールは二通あった。そのうちの一通は謝罪のような文面のメールで、残りの一通は奇妙な文面のメールだった。
「……ゲーム?」
その奇妙な方のメールには、そのゲームが時限式のものであること、一定の条件でゲームの終わりが早まること、ゲームが終わった時点でメールが手元に残ってしまった場合、罰ゲームを受けなければならないこと、と、大体そのようなことが書いてあった。
「何だ? 転送して遊ぶゲームだ、っていうのか?」
新手のチェーンメールか、広告業者が考え出した新しいスパムメールか。どちらにしてもあまり気分のいいものではなかった。
「で、もう一通は」
もう一通のメールには、平謝りの文と、奇妙な方のメールに関することが書いてあった。
「転送……ゲーム……都市伝説? バッカじゃねぇの渡辺のやつ」
その謝罪のメールは、まるで子供向けの駄菓子についてくる玩具のような、文字通り子供だましの下手くそなおまけのようだった。安っぽいチェーンメールで生み出させた小さな感情を、何とか必死に煽ろうとしているようにしか見えなかった。
「バカバカしい。作り込んだメールだとか思った自分が情けないな」
そんなに気持ちが悪いってんなら、本人に送り返してやろう。そう思って転送のボタンにカーソルを合わせたとき、PC のデスクトップに常駐させている時計が目に入った。時間は、いつも乗るバスの発車時刻に迫っていた。
「しまった、こんなことしてる場合じゃない」
遅刻してまで付き合うような遊びでもない、そう心の中でつぶやく。
「カウントダウンってか? バカバカしい。数値がなくなったらどうなるっていうんだか」
吐き捨てるようにつぶやいて部屋を出る。PC の電源はつけっぱなしにしたままだった。メールソフトの画面に浮かんだメッセージ、数値は 68 を示していた。この数値がメール到着時よりも少なくなっていることに、彼は気付くはずもなかった。