monologue : Same Old Story.

Same Old Story

空の青と本当の気持ち

空が青い。別に意味はないのだろう。ただ、青い。それくらいシンプルでいられれば、どんなに楽しい毎日を送れることだろう。屋上は、学校の中で一番好きな場所だ。ここにいればそれだけで幸せになれる。まるで別の世界にでも触れているみたいに。

が、すぐ隣から発せられたヒステリックな声で現実に引き戻された。

ああ、そうだっけ。

「ちょっと、聞いてる? ユウイチくん?」

ああ、そうだ、俺、恋愛相談されてたんだっけ。今日は一人じゃなかったんだ。

「ねえ、聞いてるの? 怒るわよ」
「聞いてるよ。浅川さんはシンヤが好きだ、って話だろ?」
「ちょ、ちょっとそんな大きな声で……誰か聞いてるかも知れないじゃない」
「……で、どうしようっての?」
「だからぁ……ユウイチくんさ、シンヤくんと結構仲良いじゃない? よく、二人で一緒にいるのとか見かけるし」
「まあ、ね」
「好きな子、いるか、とか……聞いてきて欲しいの。お願い!」

一緒にいる? 見かける? シンヤを見てたら俺が視界に入ってくるってわけか。確かにね。

「何で? 好きなら好きって……言えばいいじゃん」
「怖いの。相手の気持ちが全然わかんないのって、すごい怖いんだから」
「他人の気持ちなんてわかるわけないじゃん」
「違うの! わかんないのはシンヤくんだけなの!」
「……それはやっぱり、好きになったから?」
「多分、そうだと思う」
「へえ、じゃあ好きじゃないやつならわかるんだ」

彼女は何も反応しなかった。好きでもないやつには興味がないだけだろう? そう皮肉ってやるつもりが、口をついて出たのは、最も意外で、そして最もストレートな言葉だった。

「じゃ浅川さんさあ、……俺が浅川さんのこと好きだって知ってた?」
「……えっ」

彼女は顔を赤くして階段を駆け下りていった。あれだけ元気があれば大丈夫だろう。

空が、青い。

Fin.

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