monologue : Same Old Story.

Same Old Story

一緒に

「何度同じ事を繰り返せば気が済むの!?」

そうヒステリックに叫ぶと、彼女は顔を押さえた。

無理もないと言えば確かにそうだった。三年近く付き合う彼とは、いつも同じような事で喧嘩しているのだから。彼女がそれを "成長していない" と見ても、誰も彼女を責める事はできないだろう。

彼としても、ずっと同じ事を繰り返したいわけではなかった。だから今夜、言いたい事をいくつか考えていたのだが、それもいつもの流れに負けてしまった。

「どうしろって言うんだよ……」
「どうして正直になれないの? どうしてこんな、いつもこんな……」
「……もう疲れたよ」
「……そうね」
「終わりにしよう、こんな関係」
「……わかったわ」

彼女は、うつむいたまま部屋を出ようとした。涙を彼に見られないように。が、その彼女の腕を彼が掴んだ。

「……何? 離して」
「離さない。今離したら、僕は一生言えない台詞を抱える事になるから」
「まだ何か言うの? もうやめて、終わらせるんならそっとしておいて」
「わかってる、終わらせるんだ、こんな関係……結婚しよう」
「……何言ってるの? 冗談でしょ?」
「本気だよ」
「だって、今、終わらせるって」
「そう、終わらせるんだ。もう喧嘩なんかしなくていいように。ずっと一緒に」
「……もう……ムードなんか全然ないじゃない……」

彼女は泣き出した。さっきは見られない努力が必要だったが、今はそうでもなかった。これからはずっと一緒なのだから。何も隠す必要はないのだから。

" いつか、死が二人をわかつ日まで " 。

Fin.

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