Same Old Story
強盗
- Serial Killer
- http://www.junkwork.net/stories/same/021
「付近に強盗が潜伏しているもようです。住民の皆様は……」
ラジオが緊急放送を始めた。どうやら凶悪な犯罪者が近くにいるらしい。だが、私の家に来る確率なんてどれほどのものだろう? ここらは住宅街だから、そんな確率は……。
などと考えていた矢先、窓ガラスが叩き割られた。
「緊急放送を聞いたろう? おとなしくしてくれると助かるんだがね」
全身黒ずくめの男が、窓から身を乗り出してきた。
「すると、君が例の強盗犯か?」
「ああそうだ。正確には強盗殺人犯だがね」
彼は私にナイフをつきつけて言った。
「さあ、金を出してもらおうか」
「おや、先の強盗だけじゃ足りないのか」
「おとなしく金を出すんだ。これ以上殺すのは面倒だからな」
「やれやれ、わかったよ。運が悪かったと思うさ」
私は自分の背後の戸棚を開け、現金を探すふりをした。
「ひとつ聞いてもいいかな……何人殺してきたんだい?」
強盗はちょっと上を見て、指折り数えた。
「さっきので八人だ」
「そうかい」
私は振り向き様に、右手に持った拳銃の引き金をひいた。
「私はこれで、ちょうど君の倍だよ」
Fin.