monologue : Same Old Story.

Same Old Story

強盗

「付近に強盗が潜伏しているもようです。住民の皆様は……」

ラジオが緊急放送を始めた。どうやら凶悪な犯罪者が近くにいるらしい。だが、私の家に来る確率なんてどれほどのものだろう? ここらは住宅街だから、そんな確率は……。

などと考えていた矢先、窓ガラスが叩き割られた。

「緊急放送を聞いたろう? おとなしくしてくれると助かるんだがね」

全身黒ずくめの男が、窓から身を乗り出してきた。

「すると、君が例の強盗犯か?」
「ああそうだ。正確には強盗殺人犯だがね」

彼は私にナイフをつきつけて言った。

「さあ、金を出してもらおうか」
「おや、先の強盗だけじゃ足りないのか」
「おとなしく金を出すんだ。これ以上殺すのは面倒だからな」
「やれやれ、わかったよ。運が悪かったと思うさ」

私は自分の背後の戸棚を開け、現金を探すふりをした。

「ひとつ聞いてもいいかな……何人殺してきたんだい?」

強盗はちょっと上を見て、指折り数えた。

「さっきので八人だ」
「そうかい」

私は振り向き様に、右手に持った拳銃の引き金をひいた。

「私はこれで、ちょうど君の倍だよ」

Fin.

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