monologue : Same Old Story.

Same Old Story

親友

僕は無実の罪に追われていた。全く身に覚えのないことだ。ちくしょう、どこのどいつだ!? 僕に化けて銀行強盗なんてしやがったのは!?

「くそっ、逃げ切るのは難しいか……?」

僕は一番の親友の家に逃げ込もうと決めた。何でも話せる親友だ。

「……! どうしたんだよ!? お前、全国に指名手配されてるぜ!?」
「ああ」
「金に困ってるんならどうして言ってくれなかったんだよ。俺たちは」
「何でも話せる親友、だろ?」
「その通りだよ」
「話すよ、それは濡れ衣なんだ」

僕は、ことの成り行きを全て説明した。

「あっはっはっはっ……いや、悪い、お前に謝らなくちゃあな」
「おい、笑いごとじゃ……何だよ?」
「何でも話せる親友、じゃなかったな」
「…………?」
「犯人は俺さ。お前に変装したのは俺なんだ。そっくりだったぜ?」
「…………」
「悪いな。昔、お前に恋人を奪われたことがあったろう。根にもつタチでね」
「じゃあ俺も謝らなくちゃならないな」
「……今さら何を言っても遅いぜ」
「何でも話せる親友じゃあなかったのさ」
「何だと?」
「俺は今までに三人殺してる。全部自殺に見せかけてな。……お前のことだってわけないさ」
「……!……やめろ!」
「俺にそっくりだったんだろ? ついでに余罪も持っていってくれ」
「……ひいっ!」
「親友だろ? 何でも話せるわけじゃないけどさ」

Fin.

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