monologue : Same Old Story.

Same Old Story

我慢くらべ

一匹のライオンと一匹のトラが、互いの姿を自慢しあっていた。

「私のたてがみは美しいだろう」
「いや俺の縞模様が美しいのだ」
「私の方が美しい」

互いに一歩も譲らず、自慢は続いていった。より美しい方が皆に尊敬されるからだ。

「仕方がない、こういうときは誰か第三者に聞くといい」

ライオンがそう言ったので、トラもそれに賛成した。そして二匹は、物知りのフクロウを尋ねた。フクロウはその大きな目で見て、動物のことは何でも知っていた。

「教えてくれ、私と彼とではどちらが美しいかを」

ライオンの問いかけにフクロウは悩んだ。

もしここでライオンが美しいと言えば、きっとトラに食い殺されてしまうだろう。しかし、もしトラの方が美しいと言えば、ライオンに食い殺されてしまう。さて、どうしたものだろうか。

フクロウは黙り込んで悩んだ。長い時間悩んだ末に、やっと口を開いた。

「砂漠の炎天下で我慢比べをしたらいい。一日中姿勢を崩さないでいられるのなら、きっとその姿はとても美しく見えるだろう」

あえてどちらが美しいとは言わずに、フクロウは当事者たちにその結果をゆだねることにした。この際、自分の責任でなければどちらが美しかろうと構わない。

ライオンとトラはフクロウの言葉を聞き、さっそく砂漠へ出かけた。そして砂の上に座り込み、我慢くらべを始めた。フクロウはその間に、遠くの林へと逃げ込んでしまった。

トラはすぐに我慢できなくなり、ジャングルの奥へと姿を消した。そしてその日以来、ライオンは百獣の王と呼ばれるようになった。しかし炎天下の我慢くらべのせいでライオンの美しいたてがみは、日に焼けて汚らしく見る影もなくなっていた。一方のトラは、ジャングルの奥、あまり日の光の当たらない場所で、ひっそりと獲物を待つことが多くなった。

そしてフクロウは、夜にだけ飛ぶようになった。怒ったライオンに見つかることのないように。

Fin.

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