Same Old Story
共有点
- She's All That !
- http://www.junkwork.net/stories/same/038
(これじゃあ何のために立候補したのかわからないじゃあないか)
きっとその時の僕は、見るからに落ち込んでいたに違いない。あてが外れた。大外れもいいところだ。何のために立候補したんだか。
「あのさ、これ……」
彼女は一言も話さず、あごで棚を指した。僕は、自分の浅はかな行動をつくづく後悔した。
彼女との共有点が欲しくて生徒会に立候補したのに、いいことは何ひとつない。初仕事で彼女と二人っきりになって、これはチャンスかと思えば、ずっと無言。もうまる一時間にはなるだろうか。さっきから雑用として、生徒会室の掃除ばっかりやっている。
「あのさ……」
彼女が無言で僕を見る。
「……何でもない」
つい言葉を引っ込めてしまう。これで三回目だ。
仕方がない。不純な動機で始めた僕が悪い。多少痛い目を見た方がいいのかも知れない。僕があきらめかけた頃、彼女が席を立った。期待外れの生徒会は、今日はもう終わりらしい。
しかし、教室を出る間際、彼女は振り返って言った。
「帰る方向が同じなら一緒に帰りましょ」
僕はなぜか、努力が報われたような気持ちになった。
Fin.