Same Old Story
人間そっくり
- Like a Human
- http://www.junkwork.net/stories/same/040
「やったぞ! これは素晴らしい発明だ!」
一人の研究者が、長い研究を終えて叫んだ。そして彼は、研究資金を手にするために発明品を売りに行った。ある資産家の家まで行き、彼はこういう文句で売り込んだ。
「ついに私は発明したのです」
「いったい何をかね」
「人間そっくりのロボットです」
そう言って彼は、本当の人間と見間違えてしまいそうなほどよくできた、まだ出来立てのロボットを資産家に見せた。
「見かけだけのものではありません」
「ほう、というと?」
「まさに人間そっくりの行動をとるのです」
資産家は大いに興味を示したようだった。
「よし、買ってみるとしよう」
「ありがとうございます」
こうして研究者は大金を手にし、次の研究に没頭するようになった。
数週間後、資産家が研究者のもとを訪れた。
「いったいどうなってるんだ、あのロボットは」
「何か問題でも?」
「ぐうたらでちっとも何もせんのだ」
研究者はうろたえることなく言った。
「まあ、人間というのは大方そうでしょうな」
Fin.