monologue : Same Old Story.

Same Old Story

矛盾

昔々、大陸のある国では戦争が盛んだった。そのため、武器が飛ぶように売れていた。また、それに対抗する防具も飛ぶように売れていた。

道端で、一人の行商人が商売を始めた。辺りにはすぐに人だかりができた。

「急ぎの用のない方は御覧あれ! まずはこの矛!」

そう威勢よく叫ぶと、商人は大きな矛を取り出した。

「さる高名な研ぎ師の一品、貫けぬものは何もない!」

商人はそう叫び、矛を二、三度回して見せた。

「さてお次はこの大盾!」

次はそう叫び、また随分と大きな盾を取り出した。

「こちらも高名な職人による一品! 防げぬ武器は一つとしてあらず!」

そう叫ぶと商人は、矛と盾を並べて、より一層大きな声で叫んだ。

「さあ早いもの勝ちだ! 好きな方を買ってくれ!」

すると、客の中の一人がつぶやいた。

「じゃあ、その矛でその盾を突いたらどうなるんだい」

商人は顔色ひとつ変えずに言った。

「それは両方とも買ってからお試しくだされ」

Fin.

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