Same Old Story
迷わない君
- You Will Never Be Wavering
- http://www.junkwork.net/stories/same/045
「私といるとそんなにつまらない?」
半分泣きながら、彼女は彼に詰め寄った。
「そんなことないよ」
「嘘ばっかり! いつも遠くの方を見てる!」
彼は、少し苦い顔をして言った。
「苦手なんだよ、そういうの」
「何が!? 私を見ることが!?」
彼女の目からは涙があふれた。
「……他に気になる子がいるの?」
「違うんだ、君は、なんて言ったら……」
彼女は泣きやまなかった。空気は異常な重さだった。
少しの沈黙の後、ひらめいたように彼がつぶやいた。
「そうなんだ」
彼は彼女に歩み寄った。
「どうすれば伝わるのかなんて……」
彼女の顔から涙をふき取り、続けてこう言った。
「最初からわかってたのかも知れないな」
彼は何も言わずに彼女の細い体を抱きしめた。その手は力強く、何の迷いもなかった。
Fin.