monologue : Same Old Story.

Same Old Story

ようやく電車がホームに着いた。僕は、人の流れに逆らうようにして電車に乗り込んだ。

彼女の言葉を思い出した。

" わたしは君のこと、そういうふうには見れないから "

一字一句間違えずに覚えてしまった。

" そういうふうに見たことはないから "

彼女の言葉。寒気がするような冷たい言葉だった。

" 見たことはないから "

これからそうやって見てくれればいい。僕にはそう言えなかった。

" そうか……そうだよね "

どうして僕は納得したんだろう? 一体何を納得したんだろう?

" 仕方ないよね "

どうしてもっと食い下がらなかったんだろう? あとに残るのは後悔だけなのに。

金属製の扉の、窓ガラスに頬を押し付けた。それは、ひんやりと心地のよい冷たさだった。彼女のそれとは違う、と僕は思った。

恋にあげた熱さえ吸い取ってくれるような冷たさだった。

Fin.

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