monologue : Same Old Story.

Same Old Story

火元

「そう、火事の話」
「何それ?」

彼女は僕の顔を見つめた。

「集合住宅での火事の話」
「この近くで?」
「例え話みたいなものだと思ってよ」

彼女は興味深そうな顔をしてみせた。

「集合住宅で火事があって」
「そのままじゃん」
「住人が一斉に出てきたんだ」
「まあ、大事件だもんね」

彼女は視線を地面に落とした。

「それで、一番大騒ぎしてる男が言ったんだ」
「なんて?」
「"火元はどこだ!?" って」
「それで?」

彼女が僕に視線を戻す。

「隣人が言ったんだ。"火元はあなたの部屋です" って」
「ふぅん」

彼女はまた視線を落とした。

「で、さっき言ってた、相談したいことって何?」

火元の彼女はそう言った。

Fin.

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