Same Old Story
火元
- Origin of a Fire
- http://www.junkwork.net/stories/same/049
「そう、火事の話」
「何それ?」
彼女は僕の顔を見つめた。
「集合住宅での火事の話」
「この近くで?」
「例え話みたいなものだと思ってよ」
彼女は興味深そうな顔をしてみせた。
「集合住宅で火事があって」
「そのままじゃん」
「住人が一斉に出てきたんだ」
「まあ、大事件だもんね」
彼女は視線を地面に落とした。
「それで、一番大騒ぎしてる男が言ったんだ」
「なんて?」
「"火元はどこだ!?" って」
「それで?」
彼女が僕に視線を戻す。
「隣人が言ったんだ。"火元はあなたの部屋です" って」
「ふぅん」
彼女はまた視線を落とした。
「で、さっき言ってた、相談したいことって何?」
火元の彼女はそう言った。
Fin.