monologue : Same Old Story.

Same Old Story

代替物

「別れましょう」

突然、彼女が僕にそう言った。何の前触れもなく。

「どうしてだよ。僕らはうまくいってたじゃないか」
「あなたと付き合うのがもう重荷でしかないわ」

彼女は僕の目を見なかった。

「ごめんなさい」
「…………」

視線を地面に落としたまま彼女は僕に詫びた。

「何か理由があるのかい?」

すぐには答えは返ってこなかった。しばらくの沈黙を、衝撃的な言葉が打ち破った。

「あなたはあの人の代わりにはならなかったわ」

彼女はそれだけ言うと、僕を見ずに立ち去った。

「……代わり、か」

僕は、彼女に告げずにおいた言葉をつぶやいた。

「君だって同じさ」

視線を地面に落としたまま、僕は小さくつぶやいた。

「あの子の代わりにはならなかった。お互い様さ」

Fin.

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