Same Old Story
君だ
- It's You !
- http://www.junkwork.net/stories/same/052
(C 組の担任と援交してたんだって)
(あの子の家、火事になったんだ)
(放火って噂もあるよ)
ホームで最前列に並ぶ僕の後ろから、女子高生の噂話が聞こえる。
(特急に飛び込んだの)
(屋上から飛び降りたんじゃなかった?)
(駅だったはずよ)
物騒なことが話のネタになる世の中だ。クラスメートか、誰かの家族が自殺でもした話だろうか?
「君だ」
突然の声に僕は振り向いた。僕の後ろに列ができていたが、誰とも目は合わない。誰かが僕に呼びかけたんじゃなかったのか?
「君だ」
また聞こえる。僕はもう一度振り向いて列を見渡したが、誰も僕を気にする様子はなかった。
そういえば、さっき噂話をしていた女子高生はどこだ?
「君だ」
次に気付いたときには、声は足元から響いていた。目をやると、僕の両足を肘から先のない手首が握っていた。そのとき、ホームに特急が走りこみ、僕の足を手首が引っぱった。そして僕の体は電車の正面に踊り出た。
そう、僕だ。
Fin.