monologue : Same Old Story.

Same Old Story

バースディ

「おめでとう坊や」

少し年老いた夫婦と、その子供。窓の外では、雪が降り続いている。暖かそうな部屋の中でのパーティーは、幸せを絵に描いたようなものだった。

「ありがとう、パパ、ママ」

子供は両親に祝福され、心から嬉しそうな表情をみせた。またそれを見た夫婦も、同じく幸せそうに笑うのだった。

夫がつぶやく。

「また来年も、きっとパーティーをしよう」

妻がささやく。

「誕生日は毎年やってきますよ」

そのとき、子供が不思議そうな顔をして聞いた。

「ねえママ、誕生日ってなあに?」

老夫婦はしばらく黙り込み、やがて答えた。

「製造年月日のことよ」

夫が、小声だが、しかし複雑な感情の声を絞り出した。

「やっぱりだ」
「あなた、そんな」
「いくら子供ができなかったからと言って、それを機械で代用するのは間違ってる」

それでも、機械の少年は嬉しそうな表情を作るのだった。

Fin.

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