Same Old Story
バースディ
- Happy Birthday
- http://www.junkwork.net/stories/same/087
「おめでとう坊や」
少し年老いた夫婦と、その子供。窓の外では、雪が降り続いている。暖かそうな部屋の中でのパーティーは、幸せを絵に描いたようなものだった。
「ありがとう、パパ、ママ」
子供は両親に祝福され、心から嬉しそうな表情をみせた。またそれを見た夫婦も、同じく幸せそうに笑うのだった。
夫がつぶやく。
「また来年も、きっとパーティーをしよう」
妻がささやく。
「誕生日は毎年やってきますよ」
そのとき、子供が不思議そうな顔をして聞いた。
「ねえママ、誕生日ってなあに?」
老夫婦はしばらく黙り込み、やがて答えた。
「製造年月日のことよ」
夫が、小声だが、しかし複雑な感情の声を絞り出した。
「やっぱりだ」
「あなた、そんな」
「いくら子供ができなかったからと言って、それを機械で代用するのは間違ってる」
それでも、機械の少年は嬉しそうな表情を作るのだった。
Fin.