monologue : Same Old Story.

Same Old Story

ふたつの結末

「いつから?」
「さあ、いつからだったかな……」
「じゃあ、どこで知り合ったの?」
「さあ、それもあまり覚えてないな」
「信じらんない」

わざと気の抜けたような返事でとぼける。別に、自分のしたことがうしろめたくてそうするわけじゃない。罪悪感がないというわけでもないのだけれど。浮気の原因を問い詰められて罪悪感を感じないほど、僕は無神経ではない。もっと、タイミングを伺いたいのだ。

「じゃあはっきりしてそうなことを聞くわ。どうして浮気なんかしたの? 私に何か不満があるの?」
「それは」

彼女が僕の目の奥をのぞきこむ。

「それも曖昧?」
「そんなことないよ」

小さくため息をついて、できるだけ落ち着いて、冷静な振りをして話し始める。今がちょうどいいタイミングだ。

「彼女、恋人いてさ」
「彼女? 浮気相手の彼女かしら?」

皮肉めいた口ぶりで言われても、僕は全く気にかけない振りをして続けた。

「そう、彼女。その恋人ってのが……君の知り合いらしいんだけど」
「私の? 誰よ一体、そんな女に引っかかってるのは」
「名前は知らないんだ、その……そう、ちょうど先週、君が腕を組んで歩いてた」
「……!」

君の浮気相手だよ、と僕は言わなかった。ただ、青白くなっていく彼女の顔色を見て、僕らの結末を予想するだけだった。

「…………」
「君の、知り合いなんだよね? 彼は」

きっと、彼女……浮気相手の彼女も、今ごろこんな会話をしているんだろう。

「その人の恋人、あなたの知り合いなのよ。先週、腕を組んで歩いてたじゃない」

彼女たちはどんな結末を迎えるのだろうか。

Fin.

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