monologue : Same Old Story.

Same Old Story

繋がる結末

絶望そのもののような夢に目が覚めた。隣で寝ている女は、見慣れた顔ではなかった。

「あれ……誰?」

僕の言葉に目を覚ました彼女は、僕を見て何事かつぶやき、叫び、どこかへ電話をかけたようだった。彼女の言葉はどれも意味がわからず、別の国の言葉のようだった。

「ねえ、ちょっと」

僕が少しでも歩み寄ろうものなら、彼女は怯え、はさみや何かを僕に向けて、威嚇の態度をあらわにした。

「別に傷付けようってつもりじゃ……」

仕方なく彼女から一番離れた部屋の隅に座り込んでいると、何かのユニフォームに身を包んだ男たちが現れた。彼女がさっき連絡した相手だろうか。

「ちょっと、何を……離せって!」

僕を組み伏せようとする男たちを振り払うと、一人が壁にしたたか頭を打ち付けたようで、その場にぐったりと崩れ落ちた。

「おい……起きろって」

男は目を覚まさない。

「ちょっと待て、今のは僕は」

弁解しようと振り向いた僕の目に入ったのは、ユニフォームの男が拳銃を構えている光景だった。

「やめ」

言葉にならないうちに銃撃音が響く。

また眠りに落ちるような意識の中で、僕は意外にも落ち着いて考えていた。

(これはまるで、今朝の夢そのものじゃないか。隣に寝ていた彼女が誰かと入れ替わり、人を呼んだらはずみで死なせて……)

そう、主人公が彼女になって、被害者が僕になっただけの、今朝の夢そのものだ。

まるで安っぽいミステリーのような結末に絶望しながら、僕の意識は薄れていった。

絶望そのもののような夢に目が覚めた。隣で寝ている男は、見慣れた顔ではなかった。

Fin.

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