Same Old Story
繋がる結末
- Tragic You
- http://www.junkwork.net/stories/same/145
絶望そのもののような夢に目が覚めた。隣で寝ている女は、見慣れた顔ではなかった。
「あれ……誰?」
僕の言葉に目を覚ました彼女は、僕を見て何事かつぶやき、叫び、どこかへ電話をかけたようだった。彼女の言葉はどれも意味がわからず、別の国の言葉のようだった。
「ねえ、ちょっと」
僕が少しでも歩み寄ろうものなら、彼女は怯え、はさみや何かを僕に向けて、威嚇の態度をあらわにした。
「別に傷付けようってつもりじゃ……」
仕方なく彼女から一番離れた部屋の隅に座り込んでいると、何かのユニフォームに身を包んだ男たちが現れた。彼女がさっき連絡した相手だろうか。
「ちょっと、何を……離せって!」
僕を組み伏せようとする男たちを振り払うと、一人が壁にしたたか頭を打ち付けたようで、その場にぐったりと崩れ落ちた。
「おい……起きろって」
男は目を覚まさない。
「ちょっと待て、今のは僕は」
弁解しようと振り向いた僕の目に入ったのは、ユニフォームの男が拳銃を構えている光景だった。
「やめ」
言葉にならないうちに銃撃音が響く。
また眠りに落ちるような意識の中で、僕は意外にも落ち着いて考えていた。
(これはまるで、今朝の夢そのものじゃないか。隣に寝ていた彼女が誰かと入れ替わり、人を呼んだらはずみで死なせて……)
そう、主人公が彼女になって、被害者が僕になっただけの、今朝の夢そのものだ。
まるで安っぽいミステリーのような結末に絶望しながら、僕の意識は薄れていった。
絶望そのもののような夢に目が覚めた。隣で寝ている男は、見慣れた顔ではなかった。
Fin.