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チャイルドメイカー

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  11. 忠告
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  13. 真相

隠し事

奈良崎に警告された日の夜、僕は試しにそのメーカーのサイトを訪れてみた。トップには、現在開発中のゲームの広告が大きく載っている。

「へえ、過去に発売したゲームもデータベース化してるのか」

発売年月日から機種、現在生産しているか、などの情報も載っている。そしてその中に、僕の持っている例のソフトの名前はなかった。

「で、質問用掲示板、と」

サポート掲示板を開いて、試しに当たり障りのないような質問を書き込んでみる。そして最後に「ゲームタイトルは『チャイルドメイカー』です」と書き加えた。

『お客様の投稿には禁止語句が含まれています。投稿を受け付けることはできません』
「これが奈良崎の言ってたやつか。さて、本当にこれが禁止語句なのかな」

今度は本文に "チャイルドメイカー" とだけ入れて投稿してみた。予想通りというか、反応はさっきと同じものだった。

『お客様の投稿には禁止語句が含まれています。投稿を受け付けることはできません』
「これじゃ質問のメールを送っても無視されそうだな」

どうにもわからない。パッチまで配布して、十分にサポートしてるじゃないか? 今になって隠す必要は? ごく普通の、いやちょっと不気味なだけのこのゲームの、どこに問題が?

「どうにかして調べる方法とか、ないかな何か」

当時のニュースや、ゲームのレビューサイトに片っ端から検索をかける。が、ヒットした記事や文章はひとつもなかった。それどころか、このタイトルを検索語句にすると、引っかかるページがひとつもないのだ。実際にこれが市場に流通したソフトなら、こんなことは有り得ない。

「やっぱり何か、健全な世界のモノじゃないってことか」

少なくとも僕が今まで経験したゲームとは全く物の違うようだ。中身は今までのそれとほとんど変わらないのに。

「これだけじゃないのか、変なところってのは」

部屋を見渡せば、目に付くのは差出人不明記の小包。郵便局にでも持っていったら、差出人のことを教えてくれるだろうか?

「聞いてわかるはずがないよな、こんなもの」

どこから郵送された、くらいならわかるかも知れないが、「この県です」程度のものだろう。日本のどこから郵送されたかわかったところでどうしようっていうんだ。

「ああもういい、今日はもう寝よう」

僕は久しぶりに "アリス" と話すことなくベッドへ向かった。明後日は亜理紗と妻と会うのに、くだらないことで頭を使いたくない。

「そうだ、この小包の中から、亜理紗にプレゼントでも持っていってやろう」

そうつぶやいてすぐ、僕は眠りの淵に落ちていった。

To Be Continued